RINこんにちは。
RINです。
ここでは、誰もが一度は疑問に思ったことのある
英語に関する疑問について、
英語学の博士(Ph.D.)として、また恩師や多くの研究者との対話を通じて培ってきた知見に基づき、
直感的に理解できる解説を目指します。
本日取り上げるのは、
意志を表わす Will と Be Going Toの意味の違いです。



いきなりですがクイズです。
次の空白には、
will と be going to のどちらが用いられているでしょうか?


I { will / ‘m going to } become … the king of the Pirates!!!!
(海賊王に、、、俺はなる!!!!)
出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』Volume 1
・・・・・・
答えは、be going to です。
I‘m going to become … the king of the Pirates!!!!
・「意志なのだから、will ではないのか」
・「未来の話だから、どちらも大差ないではないか」
そのように感じられるかもしれません。
しかし、



「かたち(表現形式)が異なれば、意味も異なる」
ことばの世界の大原則です。
ここで、
will ではなく be going to を選んだということは、
be going toでしか伝えることのできない「なにか」があるということです。
では、疑問は次の2点ですね。
①:「なにか」の正体はどのようなものか?
②:「なぜ」willとbe going toで異なる意味を表わすのか?(⇒本記事の醍醐味)
この記事を読み終えるころには、その本質的な違いが、納得感を持って理解できているはずです。
では、始めていきましょう。
WillとBe Going To の意味の違い



結論から言えば、
Will と Be Going To の違いは次のようなものです。
Will :その場で初めて生じた意志
Be Going To:前々から考えていた意図
この意味の差は、たとえば、
次のような状況で明確に表わされます。



There’s no milk in refrigerator.
(お母さん、冷蔵庫に牛乳がもうないね)
母の返事【Will】or【Be Going To】



I will get some today.
(じゃあ、今日買ってくるわね)



I am going to get some today.
(今日買ってくるつもりよ)
Will :その場で生じた「意志」
母が「牛乳がないこと」を知ったのは、娘に言われたその瞬間です。
訳語にある「じゃあ」からそのことが伺えます。
より深く
この両者の違いが明確にわかる好例として、
下記を示しておきます。



“Anna is in hospital.”
(アンが入院したよ)
母の返事【Will】or【Be Going To】



“Really? I didn’t know. I‘llgo and visit her.”
(えっそうなの?知らなかった。じゃあお見舞いにいくわね)



“Yes, I know. I‘m going to visit her this evening.”
(ええ、知っているわ。明日にでもお見舞いにい行こうと思っていたわ)
Will :その場で生じた「意志」
「Really? I didn’t know」から、willが「その場で生じた意志」を表わすことが読み取れます。
本例は、Murphy, Raymond. (2019). English Grammar in Use, Cambridge: Cambridge University Press.から引用しています。
・なぜ、このような違いが生まれるのか?



次に考えるべきは、このなぜですね。
「意志」とは、ふつうその場で生じるものです。
問題は、be going toにあります。
Be Going toの「かたち」から「意味」を読み解く
単純素朴な疑問として、



be going toが「前々から考えていた意図」を表わすのは、
なぜでしょうか。
大学での経験上、この質問に対して、
明確に答えられる方は多くない気がします。
しかし、
この理由は、非常にシンプルです。
be going toの「かたち」に注目しましょう。
be going toの「かたち」とは、
「進行形(be going)」と「方向(To)」の、二つの要素が組み合わさって成るものです。
一つずつ、その意味を確認していきましょう!
「未来の出来事に向けて、今まさに動いている最中」
ということは、
今よりも前からその動きが始まっているということです。
これが、
⇒「前々から」というニュアンスの原因、です。
・未来の出来事へ向けて(To)
・現に動いている(Be Going)
⇒「前々から考えていた意図」
なぜ「意図」として解釈されるのか。
この理由も、極めてシンプルなものです。
それは、



「動いている(be going)」という行為には、本来、
「意志/意図」が伴うものだからです。
たとえば、
駅に向かって走っている人物を見かけたとき、
私たちは「ああ、あの人は急いでいるんだな」と(本人の意図を)自然に読み取りますよね。
少なくとも、まったくの無意識下で駅に向かって走っているわけではない——。
つまり、
「動いている(be going)」こと自体が、
「何らかの意図がある」ことを自然に推察させるということです。
be going toが「意図」を表わすものとされるのは、このためです。
be going toが「前々から考えていた意図」を表わすことは、その「かたち」から説明ができます。
ルフィの心情:Be going toから彩る



では、改めてルフィのことばを見てみます。


Look out world, Here! Come!
(よっしゃ、行くぞ!)
I‘m going to become … the king of the Pirates!!!!
(海賊王に、、、俺はなる!!!!)
出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』Volume 1
ここで、be going toが使われているのは、
ルフィが海賊王になることを決意したのが
「今この瞬間」ではないから
と考えることができます。
この場面は、
彼が船出の準備を整え、海賊王になるために海へ出た瞬間です。
当然、今それを決意したわけではありません。
これまでずっと掲げてきた夢。
その夢に向かって、一歩踏み出している。
そこには、それまでの道のりや、幼い頃から願い続けてきた「軌跡」が含まれている。



これまでの「軌跡」を重視しているから、
ここで、Be Going Toが選ばれたのだと、
私はそう読みます。
ちなみに、誤解してほしくないのは、
この場で、Willが用いられたら間違いなのかというと
決してそうではないということです。



仮に、Willが用いられたのなら、
それだけ、強い意志をより直接的に表現したいのだなと
私なら、そう読みます。
ここで考えてほしいのは、
「正解か間違いか」という表面的な問題ではありません。
be going to が選ばれた以上、そこからどのような想いが読み取れるのか、という点です。
われわれが文章を読むとき、
「どこまで深く、その想いを読み取ろうとするのか」
「なぜ、その表現が選ばれたのか」に視点を向ければ
これまで何気なく通り過ぎていた物語は、一気にその色彩を濃くしていきます。
ことばの「意味」を読み取れば、その奥にある「心」に触れられる。
それが、ことばを学ぶ本当の面白さだと、
私は想うのです。
貴重な時間を、この記事を読むことに充てていただき、ありがとうございました。