I see と I can see の違いについて― なぜ canを用いるのか。

    RIN

    こんにちは。
    RINと申します。

    本日取り上げるテーマは、
    I see …とI can see … の意味の違いです。

    さっそくですが、ひとつ質問です。

    🌕「あっ、月だ!」

    夜空を見上げ、雲の間から月が見えたとき、
    みなさんは、
    ・I see the moon.と言いますか?それとも
    ・I can see the moonでしょうか?

    「can = できる」と習った私たちにとって、この使い分けは謎に満ちているものかと思います。
    実際、両者は「ほぼ同じ意味である」と説明されることもあります。

    しかし、「can」の有無は、その意味に明確な違いを生む要因となります。
    本当に同じ意味を表わすのなら、わざわざcanを使う必要がないですからね。

    RIN

    ここで注目したいのは、
    対象を見る時間の長さです。

    この記事を読み終わる頃には、次の2つの疑問が明らかになります。

    ・I see と I can seeの意味の違いは何か?
    ・なぜ、その違いが生じるのか?

    では、いきましょう!

    目次

    結論:見え方は「点」か「線」か

    言語学者であるGeoffrey Leech氏の知見を踏まえ、
    「I see」と「I can see」の違いは次のように整理できます。(詳しくは、後述します。)

    スクロールできます
    表現ニュアンス知覚の時間専門用語(cf. Leech)
    I see「あっ、月だ!」点(瞬間的)瞬間知覚
    I can see「月が出ているね」線(継続的)状態知覚

    I see …
    ・「瞬間的な知覚」(いわば「点」の見方)
    ・「あっ、月だ!」のニュアンス

    I can see …
    ・「継続的な知覚」(いわば「線」の見方)
    ・「月が見えているね」のニュアンス

    この意味の違いが生じる理由は以下です。

    see(見る)という動詞の不器用な性質

    なぜ 、「see」単体では「継続的に見えている」と言えないのでしょうか?
    それは「see」が持つ性質が関係しています。

    1. Seeは、主に「見た」その瞬間しか表さない

    英語の seeは、視線が対象に届いた「その瞬間」を表わす動詞です。

    seeの「見る」とは、対象が偶然目に入ってくること, すなわち、意図せずに「見る」ということですね。

    そして、

    RIN

    無意識の状況では、
    対象のものを見続けることは難しいですよね。

    では、意識的に「ものを見る」場合は?

    以下、ジーニアス英和辞典第6版からの引用です。

    look :見ようとする意志を持って「見る」ことを表わす。
    watch:動くもの・変化するものを注意を払いながら「見る」ことを表わす。

    Suddenly I saw [×looked at, ×watched] something shiny in the distance.
    突然何か光る物が遠くに見えた

    Watch [Look at, ×See] me.
    私を見なさい《◆watchでは私が何か動作をすることを含意》

    無意志に「ものを見る」場合には、その知覚は、ふつう「瞬間的」です。
    そのため、「see」単体は
    継続的にものを見る」のが苦手ということです。

    2. 進行形(be seeing)には、なりにくい

    「見えている(継続)」と言いたいとき、進行形(be seeing)を使いたくなりますよね。しかし、

    see (「見る」)という瞬間的な知覚を表わす動詞は、
    原則として進行形になりにくい、という性質があります。

    RIN

    瞬間的に終わってしまう動作「〜している」という意味で表わすこと自体が難しいということですね。

    canが「点」を「線」に変える

    では、一瞬で終わってしまう 「see」を「見えている状態」として言いたい場合はどうするか……。 

    RIN

    そこで用いられるのが、助動詞 can です。

    「can」を添えることで、「見ることが可能な状態にある」という意味が加わります。
    一瞬で終わるはずのsee(点)が、ずっと続く「状態(線)」へと変化するということです。

    今まで学んできた「can = できる」も、当然、一瞬のことを言っているわけではないですよね。
    より詳細に読むと、「can」は
    できる状態・状況にある」ということです。

    まとめ:I see/can see the moonを読む

    これまでを踏まえると、
    次のような違いを読み解くことができます。

    I see the moon. 
    ⇒「(夜道を歩いていて)あっ、月だ!」
    I can see the moon.

    「(雲が晴れていて)月が出ていますね」

    RIN

    ある翻訳家は、
    (can)seeのような知覚動詞を訳す際、
    「目的語を、まるで主語であるかのように訳すとよい」
    とおっしゃていました。

    例えば「I can see the moon.」なら、
    「私」を隠して「月」を主役にし、
    「月が出ていますね」と訳す。
    そうすることで、ネイティブが感じている感覚をより自然に再現できる、ということですね。

    おまけ:初日の出を見たとき

    ☀️初日の出が昇る瞬間を見た
    その感動を言うとき、
    みなさんは、どちらの表現を使いますか?

    ・I see the Sun!
    ・I can see the Sun.

    RIN

    今なら、自然な訳語で上記の意味の差を示せるはずです

    貴重な時間を使い、
    記事を読んでいただきありがとうございました。

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