RINこんにちは。
RINです。
本日取り上げるテーマは、
be about to の意味についてです。
先日、
☕ Starbucks Coffeeで受け取ったコーヒーカップに、こんな一文が印刷されていました。
The beverage you’re about to enjoy may be extremely hot.


この一例は、
スターバックのお客さんに対する想いが読み取れると同時に、
be about toの意味を的確に表わす好例といえます。



そもそも、
be about to は「近い未来」を表わすとされますが、
それはなぜでしょうか。
・なぜ be about to は「近い」という含みがあるのか?
・なぜ next year のような遠い未来とは、共に使えないのか?
では、いきましょう!
be about to は「今」(まもなく〜する)を表わす
be about to は、未来を表わす表現のなかでも、
「今」(まもなく〜する)という、ごく限られた範囲だけを切り取る表現です。
同じく未来を表わすとされる will や be going to と並べてみると、その射程の違いが明白です。
| 表現 | ニュアンス | 未来までの距離 |
|---|---|---|
| I will enjoy it. | 「飲むよ」 | 遠近を問わない |
| I’m going to enjoy it. | 「飲むつもりだ」 | 前々から決めていたこと(比較的近い、が遠くてもよい) |
| I’m about to enjoy it. | 「今まさに飲もうとしている」 | 「今」(まもなく) |
I will enjoy it.
・「飲むよ」
・遠近を問わない
I’m going to enjoy it.
・「飲むつもりだ」
・前々から決めていたこと(比較的には近い未来だが、遠くてもよい)
I’m about to enjoy it.
・「今まさに飲もうとしている」
・「今」(まもなく)
will や be going to は、未来までの距離に幅があります。今日かもしれないし、来週かもしれません。
一方、be about to が表せるのは、「今」だけです。
より厳密には、
話し手が捉える「今」と時間領域のみ



では、なぜ be about to は「今」なのか。
その答えは、be about toの形にあります。
be about to のかたち: 「〜の方向付近に存在する」
形が意味を物語る――ことばの世界のおもしろさです。
be about to を構成する3つの語を、ひとつずつ見ていきましょう。
1. Be :「存在する」
Be は「存在する」という意味の動詞です。
たとえば、God is.(神は存在する)。
be は「ある状態にある/いる」というニュアンスを添える、いわば存在を支える土台のような語です。
2. About :「周辺」
About は「〜のあたり、〜ごろ」という周辺を表します。
たとえば、about ten o’clock は「10時ごろ」。ぴったり10時ではなく、その近くを指す表現です。
about は、ある一点ではなく、その周辺領域を指す語。「何かのすぐ近く」というニュアンスを内包しています。
3. To :「方向」
To は「〜の方向へ」という方向を示します。
たとえば、from A to B(A から Bへ)の to がそれです。
be about to の to も、これから向かう行為(方向)を示しています。
3つを合わせると
これが be about to の形が表わす本質的意味です。
主語は、未来のある行為を行うのに十分近く(About to)にいる(Be)。



形そのものが 「近さ(About)」 を抱えているからこそ、副詞の助けを借りずとも「今」が立ち上がるということですね。
スターバックスの一文を、もう一度読む
冒頭スターバックスの一文に戻ってみましょう。
Do not microwave.
The beverage you’re about to enjoy may be extremely hot. Be careful not to get burnt.
To avoid any leaks, do not shake the cup strongly or give it an impact.
(Starbucks Coffee カップの注意書きより)
湯気の立つカップを受け取り、ふたを開けて、口元へ運ぼうとしている――。
火傷を未然に防ぎたいスターバックスにとって、
注意を向けるべき相手は、未来のいつかのお客さんというよりも、まさに今カップを口に運ぼうとしているその人です。



be about to は、その近接感もしくは切迫感を的確に表わすかたちと言えます。
だからこそ、コーヒーカップに刻まれている一文で用いられているのでしょうね。
これが、will でも be going to でもなく、be about to が選ばれた理由だと考えられます。
・The beverage you will enjoy …
→「味わうことになる飲み物」(タイミングは漠然)
・The beverage you are going to enjoy …
→「味わう予定の飲み物」(計画としての(比較的近い)未来)
・The beverage you are about to enjoy …
→「今まさに、口にしようとしている飲み物」


+ a 遠い未来には、なじまない
be about to の「今」というニュアンスは、裏を返せば、遠い未来とは相性が悪いということでもあります。
次の例文を見てください。
*We are about to carry out this project next year.(木塚・Vardaman 1997: 52)
文頭の「*」は、この文が非文(容認されない文)であることを示します。
なぜダメなのか。
理由は、be about to に内包するAbout「今」 と、文末の next year(来年)が、意味の上で衝突するからです。
be about to は、常に「今」を基準点とした近さを前提にする。
「今この瞬間」と「来年」はふつう両立しない、ということですね。
補足:例外的な使用例について
文脈によっては、be about to が比較的離れた未来とともに用いられる例はあります。
例えば、客観的には長い時間も、主観的には短く感じる瞬間はありますよね。
この通例に対する反例については、また後日の記事で書くこととします。



be about to は、「今」を切り取るかたち。
遠い未来を表わす場合、そこは別のかたち(will や be going to)の持ち場、といえます。
まとめ:コーヒーカップの一文を読む
これまでを踏まえると、
次のように読み解くことができます。
be about to
⇒ 〜の方向に向かって(About To)存在する(Be)
⇒ 「今」を含意する表現形式
The beverage you’re about to enjoy may be extremely hot.
この一文を読んだ瞬間、
みなさんは、この文の情景をどのように思い描くでしょうか。



about というたった1語の有無で、未来の見え方が大きく変わります。
「一語にして、世界の見え方は変わる」ということですね。
貴重な時間を使い、
記事を読んでいただきありがとうございました。
参考文献
⽊塚晴夫・J. Vardman(1997) 『⽇本⼈学習者のための⽶語正誤チェック辞典』Macmillan: Macmillan Language House.
Close, Reginald Arthur(1975)A Reference Grammar for Students of English, London: Longman.