RINこんにちは。
RINです。
本日取り上げるテーマは、
『ハリー・ポッター』に登場する「みぞの鏡」に隠された言葉遊びです。
さっそくですが、ひとつ質問です。
🪞「The Mirror of Erised」
この英単語の意味はなんでしょうか?
辞書を引いても出てこない、
不思議な単語です。


実はこの「Erised」、作者J.K. Rowlingがつくった造語なんですね。
しかし、「意味のない文字列」ではありません。
ある仕掛けに気づくと、この単語の正体が一瞬で見えてきます。



ここで注目したいのは、
「鏡」というモチーフそのものです。
・Erisedとは、どういう意味の単語か?
・なぜ、この造語が使われたのか?
では、いきましょう!
結論:Erisedは「鏡に映ったdesire」
先に結論をお伝えします。
「Erised」という造語は、次のようにして生まれた単語です。(詳しくは、後述します。)
| 表現 | 読み方 | 意味 | 仕掛け |
|---|---|---|---|
| Desire | 左から右へ | 願望 | ふつうの英単語 |
| Erised | 右から左へ | 願望(の裏返し) | 鏡文字(反転) |
Desire → 願望
Erised → Desireを逆から読んだ綴り
つまり、
Erised =「鏡に映ったdesire」
この仕掛けが生まれた背景には、「みぞの鏡」そのものの性質が関係しています。
「みぞの鏡」とはどんな鏡か
『ハリー・ポッターと賢者の石』に登場する「みぞの鏡」は、
覗いた人の「心の奥底にある願い」を映し出す鏡です。


1. 主人公ハリーが見た光景
両親を亡くしているハリーがこの鏡を覗くと、そこに映ったのは家族全員が揃った光景でした。
鏡に映るのは、その人が一番「こうなってほしい」と望んでいる光景。
つまり、「desire(願望)」を映す鏡ということですね。
そして、



鏡に映ったものは、
現実とは左右が反転していますよね。
2. 名前そのものが「鏡の仕掛け」になっている
ここで冒頭の造語に戻ります。



「願望を映す鏡」の名前を「願望」という単語そのものを鏡文字にして表現しているということですね。
なぜ”The Mirror of Desire”ではないのか?
意味だけを伝えるなら「The Mirror of Desire(願望の鏡)」でも問題ないはずです。
では、なぜわざわざErisedという造語にしたのでしょうか……。



そこに、J.K. Rowlingの言葉への遊び心が表れているのだと思います。
「Desire」をそのまま使うと、意味は伝わるだけで終わってしまいます。
しかし、Erisedと綴ることで、読者は名前そのものを「鏡で読み解く」体験をすることになります。
読書ないし単語の意味を知るプロセスが、「鏡を覗く」行為と重なる仕掛けです。
実は、鏡の額縁には、こんな文章が刻まれています。
“Erised stra ehru oyt ube cafru oyt on wohsi”
これも、右から左に読むと……
“I show not your face but your heart’s desire”
(私は、あなたの顔ではなく、心の願いを映す)
まとめ:鏡の名前を「鏡」で読む
これまでを踏まえると、
“The Mirror of Erised”という名前は、次のように読み解けます。
The Mirror of Erised
⇒ Erisedを鏡で反転 → Desire
⇒ 「願望の鏡(みぞの鏡)」



物語に登場するアイテムの名前に、
そのアイテムの機能そのものを埋め込む。
これは、面白い仕掛けですよね。
日本語訳では「みぞの鏡」となっていますが、
これは「のぞみ(望み)」を反転させた訳語。
訳者の松岡佑子さんも、原文の仕掛けをそのまま日本語で再現しようとしたわけですね。
「Erised → Desire」と「みぞ → のぞみ」。
言葉のレベルで、原文と訳文が呼応しています。
おまけ:他にもある「鏡文字」の仕掛け
✨英語圏の物語には、
こうした「言葉遊び」が数多く登場します。
・『不思議の国のアリス』のJabberwocky(造語詩)
・『指輪物語』のエルフ語
・『ハリー・ポッター』の呪文(ラテン語由来)



原文で読むと、訳では気づけない仕掛けに出会えることがあります。英語学習のご褒美ですね。
貴重な時間を使い、
記事を読んでいただきありがとうございました。